自己破産とは
返済能力がない場合は、自己破産を検討することになります。
破産は清算手続きです。借金が全て免除されますが、財産も失うことになります。ただし、生活に最低限必要な家財道具、家電製品や預金等はそのまま残すことができます。
破産というと何か悪いことをしたような、罪悪感を感じる方も多いかと思いますが、そう悲観的になる必要はありません。
債権者側も回収の見込めない不良債権を抱えているよりも、正式に破産してもらった方が税務上損金処理をすることができるというメリットがあるのです。
様々な事情が重なり借金を抱えてしまい、無理をして返済を続けたけれども一向に借金が減らず希望が見えない。そのような方は、無理を続けて体調を崩したり、夜逃げをしたりする前に、破産して生活の再スタートを切ってください。
破産手続きの概要
裁判所が破産管財人を選任し、破産申立人の資産を清算して債権者に平等に分ける手続を行います。
破産申立人に資産が無く、かつ、借金の原因に免責不許可事由が存在しない場合は、破産管財事件とせず、破産手続を終了(同時廃止決定)させることもあります。
以前はほとんどの事件が破産管財事件とはならず同時廃止決定で終了していましたが、平成25年~26年頃から全国的に裁判所の運用が変わり、破産申立人に資産が無い場合でも、少しでも免責不許可事由や不明点があれば、破産管財事件として、破産管財人を選任する傾向にあります。また、債務整理を依頼後、破産申立てをするまでに1年以上経過している場合も、破産管財事件となる傾向にあります。
破産管財事件となると、破産管財人に支払う費用等として、別途約21万円が必要となり、破産申立書を裁判所に提出したタイミングで、原則、一括で納付する必要があります。
破産申立人の資産を債権者に分ける手続と併せて、免責手続が行われます。
「免責」とは、借金をゼロにすることです。
ただし、借金の原因のうち、ほとんどを免責不許可事由が占める場合は、原則として免責を受けることができません。
免責を得る見込みが低い場合は、個人再生手続き等を検討する必要があります。
免責不許可事由の一例
1.ギャンブルや遊興費による借金が多い
2.直近の短期間に、破産覚悟の上で、意図的に多額の借入れをしている
3.現金を得る目的で、パソコンやチケットをクレジットカードで購入し、繰り返し換金行為を行っている
4.過去7年の間に、免責を受けている
尚、免責不許可とみなされ得る事例は上記以外にもあります。詳しくは面談時にご相談ください。
破産手続の流れ
まずは、お電話下さい。
当事務所では、お電話いただければ、電話による無料相談の後、ご依頼される場合はご来所いただくという形をとっております。
基本的に、平日10時~20時まで、土日祝日10時~18時まで、電話相談に対応しております。電話を取れなかった場合は、折り返しさせていただきます。
電話相談のうえ、面談のご予約。
面談は、平日夜間でも20時頃までにご来所いただければ、受付しております。土日も予約可能ですが、できれば平日の方が助かります。
面談の際、下記の資料をご持参ください。
ご本人名義の通帳全部・・・現在使用していない通帳でも必要です。
3か月分位の給与明細・・・同居のご家族全員分をご用意ください。
保険証券・・・裁判所には、原則ご本人名義のものを提出しますが、同居のご家族全員分をご用意ください。
賃貸借契約書
車検証・・・同居のご家族全員分をご用意ください。
この他、裁判所には、下記の書類等を提出しますので、後日、取得をお願いします。
退職金見込額証明書・・・5年以上現在の勤務先に勤めている場合(パートは除きます)、仮に退職した場合の退職金の見込額を証明するもの。退職金見込額の8分の1が財産として評価されます。
ただし、現実的に勤務先から取得するのはなかなか難しいことが多いので、代わりに、就業規則、退職金規程等のコピーを入手していただき、その記載から退職金額を算出できれば、退職金見込額証明書の代わりとすることができます。
住民票(世帯全員、本籍の記載のあるもの)
所得証明書(直近年度分、所得控除の記載のあるもの)・・・同居のご家族全員分が必要です。
無資産証明書・・・住所所在地に不動産を所有していないことを証明するもの。役所で取得できます。同居のご家族全員分が必要です。
生命保険の解約返戻金証明書・・・仮に解約した場合の解約返戻金の金額を証明するもの。ひとまず解約する必要はありません。
ご来所のうえ面談。2~3時間位かかります。
ご依頼後、当事務所から各債権者に受任通知を発送します。
これにより法律上取立てが禁止されますので、ご依頼日当日から返済をストップしていただいて構いません。
債権者から勤務先やご実家に連絡が行くこともありません。
当事務所の報酬は、毎月2万円~4万円位を分割でお支払い下さい。
併せて、各債権者から取引履歴を取得します(全社分届くまでに1~2か月位かかります)
ご契約後、下記の準備をお願いします。
毎月の家計表(生計を一つにする世帯単位)の作成
陳述書の下書き・・・職歴、家族構成、破産に至った経緯や事情等
このうち、「破産に至った経緯や事情」は、各債権者につき、当時どういう状況で、何のためにお金が必要になり、いつ頃、いくら位借りて使ったのか等の事情を下書きしていただきます。この作成が一番大変ですが、各債権者から取り寄せた取引履歴をお渡ししますので、思い出しながら、できるだけ詳しく作成をお願いします。
2021年4月から携帯会社各社が料金プランを大幅に値下げしています。
家計の節約のため、積極的に携帯会社・料金プランの変更をご検討ください。
料金プランについては、総務省の携帯電話ポータルサイトをご参照ください。
総務省 携帯電話ポータルサイト
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/
自己破産申立書を裁判所に提出します。
(ご依頼から3~6か月後)
その後、予納金を納付します。
必要に応じて裁判所から補正や追加書類の指示が出されます。
破産手続開始決定が出されます。
(裁判所に提出して1~2週間後)
破産手続は、原則、破産管財人弁護士が選任され、破産管財事件として進行します。
破産管財事件とならず、破産手続開始決定・同時廃止決定が出れば、約2か月後に免責許可決定が出され、その約1か月後に免責許可決定が確定し、破産手続は全て終了となります。
ただし、ここ最近は、破産管財事件として進行することが多くなっています。
破産管財事件となった場合
裁判所が破産管財人弁護士を選任しますので、破産管財人の費用等として約21万円を、原則、一括払いで納付する必要があります。
2~3か月後に、第1回債権者集会期日が指定されますので、お仕事等の日程調整をお願いします。
このタイミングで官報に掲載されます。(1回目)
破産手続開始決定後、ご本人宛ての郵便は、破産手続が終了するまで(約3か月間)、破産管財人の事務所宛てに転送されます。また、裁判所の許可なく、住所変更や旅行をすることは禁止されます。
破産管財人が財産や免責不許可事由の有無等を調査します。
月に1~2回程、ご本人が破産管財人の事務所に訪問し、破産申立書の内容やその他不明点等について聴き取り調査を受け、必要に応じて追加の資料を準備します。
破産管財人は、多少の免責不許可事由であれば、裁量的に免責相当とする意見書を作成する方向で進めてくれますので、聴き取り調査の際は、隠し事をせず正直に回答してください。
また、訪問の際、破産管財人に転送されたご本人宛ての郵便物を受けとります。
裁判所での債権者集会期日に出席します。
(破産手続開始決定から2~3か月後)
公開の法廷ではなく、広くない部屋の一室で行われます。
債権者が出席することもできますが、通常、債権者が出席することはありません。また一般の傍聴人もいません。司法書士も同行します。ご本人の隣に同席することはできませんが、近くの席で見守ります。
破産管財人による報告と裁判官から今後の心構え等についての訓示を受け、特に問題が無ければ、5分から10分程度で終了します。
当日か翌日には、破産手続廃止及び免責許可決定が出されます。
その後、官報に掲載され(2回目)、免責許可決定から約1か月後に免責許可決定が確定し、復権となり、手続が全て終了となります。
自己破産に関するよくある質問
「破産」という言葉から、漠然と破滅的なイメージを持たれがちです。
しかし、実際はそのようなことはありません。
職場や家族に知られる
基本的には知られることはありません。
当事務所や裁判所、債権者などが、ご家族や職場に連絡することは原則としてございません。
ただし、同居の家族の所得証明書や給与明細書、光熱費の領収書等を用意する必要がありますので、これらを家族に知られずに集めるのはなかなか難しいと思われます。
できれば同居のご家族には事前に相談されることをお勧めします。
車は没収されてしまうの
クレジット会社でローンを組み、それを返済中の車には、通常、ローンを完済するまでは車の所有権をクレジット会社に留めておく特約(所有権留保特約と言います。)が付いているため、司法書士介入後は、原則、車は債権者に引き揚げられることになります。ただし、例外もあります。(詳しくはこちら)
これに対し、銀行のマイカーローンなどは、通常、所有権留保が付されていませんので、車は引き揚げられずにすみます。
所有権留保が付されている場合、仕事上、どうしても車を手放せない等の事情がある場合は、親族の援助により完済すること等を検討する必要があります。
この所有権留保特約がない場合でも、破産手続きの中で、原則として車は売却されることになります。ただし、排気量2500cc未満かつ登録後5年以上経過している国産車で、かつハイブリッド車や電気自動車でないものについては保有が認められます。また、それ以外の車でも査定価格が低い場合は保有が認められる場合があります。
テレビや冷蔵庫等も没収されてしまうの
日常生活に通常使用するような家財道具や家電製品、預貯金、現金は残すことができます。
仕事を辞める必要はありますか
辞める必要はありません。
ただし、保険の外交員や警備員など一定の国家資格を要する職業には一時的に資格制限があります。
免責を受ければ復権しますが、それまではその仕事をすることはできません。
選挙権は
失われません。そのままです。
尚、戸籍にも記載されません。
弁護士と司法書士とで手続きに違いがありますか
一般の消費者の債務整理に関して言えばほとんど違いはありません。全国的に東京地裁だけは破産申立てや個人再生申立てについて弁護士を優先する取扱いをしていますが、福岡地裁においては取扱いは全く変わりません。裁判所や債権者との間の事務連絡や書類のやり取りも全て司法書士が行います。