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裁判手続を起こされた場合

裁判所から訴状が届いた場合

 
 
 貸金業者や信販会社、債権回収会社などの債権者が訴訟を提起する場合、裁判所に訴状を提出します。
 通常、債権者の本店所在地を管轄する裁判所で、概ね請求元金が140万円以内であれば簡易裁判所が、140万円を超える場合は地方裁判所が管轄になります。
 
 裁判所は訴状を受理すると、事件番号を付して1~2か月先の第1回口頭弁論期日を定め、被告の住所・居所や就業場所宛に「訴状」「口頭弁論期日呼出状」「答弁書」を特別送達により郵送します。 
 訴状は直接手渡しで送達され、受け取りには押印か署名が必要になりますが、被告本人でなくても、自宅での同居人や職場での他の従業員でも受け取ることができます。
 
 この際、居留守を使ったり、受け取りを拒否したりしても、最終的には「書留郵便等に付する送達」という、郵便を発送したことをもって、実際には受け取っていなくても受け取ったことにできる制度があるため、債権者にその制度を利用されると、被告が関与しないまま訴訟手続が進行し、いつの間にか終了している(敗訴している)ということになります。
 また、受け取りを拒否するケースの他、債権者の取立てから逃れるために、被告が住民票を異動せず郵便局に転送届出もしないまま転居しており所在不明のため訴状を送達できないケースでも、「公示送達」という裁判所に呼出状を掲示することで、同様に受け取ったことにできる制度があるため、それにより被告が知らないうちに敗訴判決が出されていることがあります。
 
 訴状が届いた場合は、できるだけ早く専門家にご相談ください。


訴状の記載内容

 
 訴状には、「事件番号」、原告と被告の住所(本店所在地)・氏名(会社名)が記載された「当事者の表示」などの他、「請求の趣旨」「請求の原因」が記載されており、甲〇号証というハンコが押された証拠(カード契約書等)が同封されています。
 
 「事件番号」は、令和〇年(ハ)第○○○号貸金等請求事件などと表示されます。
 (ハ)は、簡易裁判所の通常の第1審訴訟事件であることを示しており、支払督促事件であれば(ロ)、地方裁判所の通常の第1審訴訟事件であれば(ワ)と表示されます。
 
 請求の趣旨」は、裁判で審理を求める結論部分であり、判決の主文に対応します。 
 例えば、立替金の支払を求める訴訟では、次のような記載となります。
 
請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、次の金員を支払え
(1)金〇〇万円 
(2)上記金額の内、金〇〇万円に対する令和〇年〇月〇日から完済にいたるまで年14.6%の割合による遅延損害金。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。 
との判決並びに仮執行の宣言を求める。
 
 「請求の原因」は、「請求の趣旨」で求める結論の根拠となる事実であり、例えば、次のような記載となります。
 
請求の原因
1 原告は、○○カードを発行してクレジットカード取引を営むものである。
2 被告は、令和〇年〇月〇日、原告との間で、下記の要旨の契約を締結した。
(1) 原告は、被告がカードを利用して加盟店から購入した商品の代金を立替払する。
(2) 被告は、原告に対し、立替払金に手数料を加えた金額を支払う。
(3) 手数料 利率年〇%
(4) 遅延損害金 利率年〇%  
(5) ・・・・・・・・
3 原告は、別紙記載のとおり、代金を立替払した。
4 原告は、支払期限の過ぎた割賦金の支払を、20日以上の期間を定めて書面で催告したが、被告はその弁済をしなかったため、令和〇年〇月〇日の経過をもって、期限の利益を喪失した。
5 よって、原告は被告に対し、請求の趣旨記載の金員の支払を求める。
   

「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」「答弁書」の記載内容

 

 裁判所からの郵便には、訴状の他に、「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」「答弁書」が同封されています。
 本来は、専門家に相談することをお勧めしますが、仮にご本人自身で「答弁書」を提出する場合は、下記の要領になります。
 
 「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」には、第1回口頭弁論期日の日時が記載されるとともに、その期日に出頭することと、その期日の1週間前までに答弁書を提出することが催告されています。 
 仮に「答弁書」を提出せず、第1回口頭弁論期日にも出頭しなければ、原告の言い分がそのまま認められ、第1回口頭弁論期日に敗訴判決が出されることになります。
 
 「答弁書」には、「書類の送達場所の届出」、「送達受取人の届出」などの他、「請求に対する答弁」「私の言い分」の記載があり、□にレ点を付ける部分や自由に記入する部分があります。
 
 「請求に対する答弁」は、訴状の「請求の原因」に記載されている事実(原告の言い分)に対し、「認めます」、「間違っている部分があります」、「知らない部分があります」から選択しますが、「認めます」にチェックを入れてしまうと、原告の言い分を認めたことになり敗訴判決を受けることになりますので、チェックする必要はありません。
 原告の主張する事実を争う場合や知らない部分があるなら「間違っている部分があります」、「知らない部分があります」を選択することになりますが、貸金業者や信販会社からの貸金請求訴訟や立替金請求訴訟の場合、基本的に債権者側の言い分は正しいため争う余地は少ないです。
 ただし、古い債権で、消滅時効の可能性がある場合は、答弁書で時効の援用をする必要があります。
 
 次に、「私の言い分」では、「私の言い分は次のとおりです」、「話し合いによる解決(和解)を希望します」から選択します。
 仮に、既に弁済しているはずだとの主張や、時効援用を主張する場合は、その旨を記入することになりますが、時効援用の主張をする場合を除き、通常は債権者側の言い分は正しいため、あまり記入することはありません。 
 
 そうすると結局のところ、答弁書で記入するケースがあるとすれば、分割の和解を希望する場合に、「請求に対する答弁」で「知らない部分があります」にでもチェックしておいて、「話し合いによる解決(和解)を希望します」にチェックし、具体的な分割和解案を記入するときくらいになります。
 ただし、この場合はご本人自身で債権者と直接交渉することになります。債権者にもよりますが、返済期間が短い、頭金が必要など、弁護士・司法書士が和解交渉をしたときと比べて、返済条件が厳しくなりがちですので、他にも債務があるようであれば、この機会に専門家に債務整理の相談をすることをお勧めします。
 
 なお、第1回口頭弁論期日は、答弁書を事前に提出することで出頭しなくても答弁書を陳述した(法廷で読み上げた)ことにできる制度(擬制陳述)があり、それにより約1か月先に指定される第2回口頭弁論期日まで結論を先送りできる効果がありますが、そうだとしても、上記のとおり、債権者側の言い分は基本的に正しいため、分割和解をする場合を除き、いずれにせよ第2回か第3回口頭弁論期日に敗訴判決が出されることになります。
 したがって、分割和解をするケース以外では、答弁書を提出する必要性は少ないといえます。
 簡易裁判所では第2回口頭弁論期日以降も出頭せず擬制陳述できますが、正当な反論ができないようであれば、いずれにせよ第2回か第3回口頭弁論期日に敗訴判決が出ます。 

債務名義

 判決が出ると、判決正本(和解の場合は和解調書や和解に代わる決定正本)が自宅に送付されます。判決正本が送達された日の翌日から起算して2週間以内に控訴しなければ、その判決は確定します。
 確定判決正本や和解調書は「債務名義」と呼ばれ、これがあると強制執行(財産差押)ができるようになります。
 逆に言えば、裁判を起こすなどして債務名義を取得しなければ、いきなり強制執行をすることはできないということになります。
 

裁判所から支払督促が届いた場合


 支払督促は、金銭等の支払を求める請求について、債務者側が争わないこと前提に、その審理を経ないで、簡易迅速かつ経済的に、債権者に債務名義(訴訟手続における判決、和解調書等)を取得させる略式手続です。 
 一般的に、請求をする側を債権者(訴訟での原告)、請求を受ける側を債務者(訴訟での被告)といいますが、支払督促では、原告・被告という言い方はせず、債権者・債務者という言い方をそのまま用います。 
 裁判所から送達された支払督促に対し、債務者側が「督促異議」の申立てをしなければ、法廷での審理を経ることなく、債権者は債務名義を取得することができます。 
 一方で債務者側が「督促異議」の申立てをした場合は、通常の訴訟に移行することになります。

 貸金業者や信販会社、債権回収会社などの債権者が支払督促を申し立てる場合、裁判所書記官に、支払督促の申立書を提出します。

 通常の訴訟では、裁判官が法廷で原告と被告の言い分を聞いて判決を下すのに対し、略式手続である支払督促は、裁判所書記官が申立てに対する審査と債務者への発送の可否について判断を担います。 
 管轄する裁判所は、訴訟と異なり、通常、債務者の住所地を管轄する裁判所で、請求の元金の金額に関わらず、簡易裁判所が管轄になります。 
 ただし、インターネットを利用してオンラインで支払督促を申し立てることもでき、その場合は、東京簡易裁判所が管轄になります。

 裁判所書記官は支払督促を受理すると、事件番号を付して、債務者の住所・居所や就業場所宛に、「支払督促」と「督促異議申立書」を、特別送達により郵送します。 
 支払督促は、訴状と同様に、直接手渡しで送達され、受け取りには押印か署名が必要になりますが、債務者本人でなくても、自宅での同居人や職場での他の従業員でも受け取ることができます。
 そして、訴状と同様に、居留守を使ったり、受け取りを拒否したりしても、最終的には「書留郵便等に付する送達」という、郵便を発送したことをもって、実際には受け取っていなくても受け取ったことにできる制度があるため、債権者にそれを利用されると、債務者が関与しないまま支払督促手続が進行し、いつの間にか終了しているということになります。 
 ただし、訴状と違い「公示送達」の制度は、訴訟よりも簡素な手続である支払督促の場合、債務者の利益を考慮し、利用することができません(なお、仮執行宣言付支払督促は利用可能です。)。

 支払督促が届いた場合は、できるだけ早く専門家にご相談ください。


「支払督促」の記載内容

 訴状と同様に、支払督促にも「事件番号」、債権者と債務者の住所(本店所在地)・氏名(会社名)が記載された「当事者の表示」などの他、「請求の趣旨」「請求の原因」が記載されています。 
 オンライン手続を利用して東京簡易裁判所から発送された場合の支払督促は、袋とじで縦に細長い形をしています。
 それぞれの意味も、訴状のときと同じになります。ただし、支払督促は、裁判所での審理が予定されていない略式の手続であるため、訴状と違い甲〇号証というハンコが押された証拠は同封されていません。
 「事件番号」は、令和〇年(ロ)第○○○号などと表示されます。(ロ)は支払督促手続であることを示します。


「支払督促異議申立書」の記載内容



 裁判所からの支払督促には、「督促異議申立書」と支払督促手続について説明された「注意書」が同封されています。

 債務者が、支払督促を受け取った日の翌日から起算して2週間以内(2週間の最終日が土日、国民の祝日、12月29日から1月3日にあたる場合は、その翌日まで)に「督促異議申立書」を提出しなかった場合、債権者の申立てにより、支払督促に「仮執行宣言」を付することができます。 
 「仮執行宣言」とは、後の訴訟手続での審理によっては失効する可能性がある仮のものではあるものの、強制執行ができる効力を与えるものになります。 
 「仮執行宣言」は、「債権者は債務者に対し、支払督促の請求の趣旨記載の金額及び仮執行宣言の手続費用金○○円につき、仮に執行することができる」などの文言を、1回目に発送した支払督促の末尾(オンライン支払督促の場合は当事者の表示の前)に追記する形で付されます。

 その後、その「仮執行宣言付き支払督促」が債務者宛に郵送され、同様に、受け取った日の翌日から起算して2週間以内(2週間の最終日が土日、国民の祝日、12月29日から1月3日にあたる場合は、その翌日まで)に「督促異議申立書」を提出しなかった場合、その「仮執行宣言付き支払督促」は、訴訟における確定判決と同じ効力を有するものとなり、債務者の財産に強制執行ができる「債務名義」となります。 
 支払督促に同封される「注意書」には、概ね上記のことが記載されています。

 このように支払督促は2回届きますが、どちらのタイミングでも債務者が「督促異議申立書」を提出した場合は、支払督促手続は終了し、債務者の住所・居所を管轄する裁判所での通常訴訟に移行します。 
 その後、約1~2か月先の日時で訴訟における第1回口頭弁論期日が指定され、呼出状が郵送されます。

 「督促異議申立書」には、「住所、氏名」「送達場所の届出」などの記入欄の他、「私の言い分」の記載があり、□にレ点を付ける部分や自由に記入する部分があります。

 「私の言い分」では、「申立人の言い分は認めない」、「分割払いを希望します」、「その他」から選択します。
 訴状のときと同様、既に弁済しているはずだとの主張や、時効援用を主張する場合は、「申立人の言い分は認めない」にチェックを入れて争う旨を記入し、督促異議の申立書を提出します。その後通常訴訟に移行しますので、訴訟手続の中で争っていくことになります。 
 ただし、訴訟のときと同様、消滅時効の主張をする場合を除き、貸金業者や信販会社からの支払督促の場合、基本的に債権者側の言い分は正しいため争う余地は少ないです。

 分割の和解を希望する場合は、「分割払いを希望します」にチェックし、具体的な分割和解案を記入して督促異議の申立書を提出し、その後の通常訴訟の中で債権者と交渉していくことになります。


債務名義

 債務者が「支払督促」「仮執行宣言付き支払督促」のいずれにも「督促異議」を申立てなかった場合、「仮執行宣言付き支払督促」が確定し、訴訟における確定判決と同じ効力を有するものとなり、「債務名義」となります。  
 債務名義があると、債権者は、債務者の財産に強制執行をすることができるようになります。

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